1. はじめに
どうも、エビが大好きですがエビアレルギーになりました会計ゾロリです。
大日方隆(2013)『アドバンスト財務会計(第二版)』, 中央経済社は、自分の周りでは「大日方本」と呼ばれ、大学院レベルのスタンダードなテキストとして有名です。そこで、今日のブログは(苦労して読んだ)「大日方本」の2章の一部について数値例をあげて考えます。
2. 利潤の概念(財の生産に時間を要しないケース)
ここで想定されているモデルは、以下の図のようなシンプルなものである。ここでは、子供服の製造を行う企業「アンジュルム社(A社)」を想定しよう。
A社は、子供服の製造を行う為に、材料や労働力を調達する。ここで、単純化の為にこれらの材料や労働力をまとめて「生産要素」と呼ぶこととする(別に生産要素が2つでもOK)。
A社は、生産要素を価格p1円で、q1個だけ購入してくる。すなわち、売上原価はp1×q1である。この生産要素からA社は子供服をせっせと作る。出来上がったq2着の子供服は、作っただけp2円で売れる。したがって売上高はp2×q2である。もちろん企業の利潤関数は、以下のように定義できる。右辺第一項が売上高(収益)で第二項が売上原価(費用)というわけだ。
さらに、「A社が生産要素1つに対して、子供服をどれくらい作ることができるか」ということを仮定する為に、生産関数という道具を使おう。ここで、生産関数では「生産要素を多く投入すれば子供服もたくさん作れるが(一階微分が正で)、多く作ればだんだんと生産能力は落ちてくる(二回微分が負である)」という(経験的に当たり前の)ことを表現したい。そこで、今回は数値例として以下の生産関数を利用する。
この生産関数の数値例では、以下の図のように「生産要素を多く投入すれば子供服もたくさん作れるが、多く作ればだんだんと生産能力は落ちてくる」という仮定が表現できている(毎回この仮定を説明するのはめんどくさいので、以下では生産関数は「収穫逓減」という)。横軸が生産要素の調達量(q1)で、縦軸が生産量(q2)である。
ここで、生産関数を用いて先ほどの利潤関数を目的関数として以下のように書き換えよう。企業は利潤を最大化する為に、生産要素の調達量q1個を調達するわけである。
さらに、仕入価格p1=10と販売価格p2=40を仮定すると、利潤関数は以下のように図示できる。横軸が生産要素の購入量(q1)で、縦軸が利潤(Π)である。
A社は、利潤の極大点(グラフにおけるお山の先っちょ)のところになるように、生産要素の調達量q1(横軸)を選択する。合理的なA社が選択するq1*の求め方は色々あるが、グラフで分析するか微分するくらいが簡単でいいだろう(これまでの数値例を利用した答えはq1*=100, q2*=50,Π*=1000)。
ここで、生産要素と生産品の関係を利潤との関係で見るために、最初に紹介した方の利潤関数に戻って変形してみよう。
価格(p1=10及びp2=40)を固定して利潤(Π)を動かすと、「ある利潤を稼ぐには生産要素をどれくらい調達して(q1)、どれくらい生産品を販売すればいいか(q2)」が一次関数の形でわかる。これを等利潤線と呼ぶ。
下の図では、それぞれ利潤が400, 1000円の場合はどのようになるのかを示している。特に1000円の場合は、生産要素の最適購入量である。
原点Oからy軸の切片Bまでの線分は、「(稼いだ利潤の金額である)収益1000円を稼ぐにはどれくらい売らなければならないか」をしめしている(25)。原点Oからx軸の切片Aまでの線分は、「稼いだ利潤1000円を使ってどれくらい生産要素を購入できるか」をしめしている(25)。
ここで重要なことは、(最適な水準としての)利潤が、利潤最大化のために企業が生産量を決定した結果として決まったものである、ということである。つまり、この利潤概念を採用すると企業の行動もつられて決まるというわけだ。
3. おわりに
今日のブログでは、利潤の定義とその周辺の話題について書きました。実際の数値例を用いることで、自分でも理解できたと思います。余裕があったら、生産要素が複数のバージョンもやってみようかしら。ちなみにグラフはmacのgrapher、数式はtex clip、再計算はWolfram Alphaを利用しました。
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