SECパイロットプログラム関するQ&A

目次

1. はじめに

2. パイロットデータに関するQ&A集

3. おわりに




1. はじめに

 SECのパイロットプログラム(2005/5/2-2006/4/28)を紹介する。SECのパイロットプログラムを検討することは、証券市場のフィールド実験を検討する上で有意義だと思う。今回のブログでは、SECによるQ&A集を紹介したい。以下のQ&A集は、SECスタッフがパイロットプログラムについての理解向上のためにまとめたもの(2005年時点)の抄訳である*。この資料からは、SECがどのようにパイロットプログラムを事前に計画していたかが理解できるだろう。

2.  パイロットデータに関するQ&A**

質問 A.1: 空売りに関するパイロットプログラムってなんですか?

答え: 202T of Regulation SHOに基づいて、SECが1年間のパイロットプログラムを実施する指令を承認した。パイロットプログラムは、1年間のパイロット期間の間、ある株式を指定し、それらの証券をSECのRule 10a-1(a)に基づくティックテスト及び空売りの価格テストに関するSROの適用から除外する。

質問 A.2:パイロットプログラムの目的はなんですか?

答え: パイロットプログラムによってSECは価格テストの排除が空売りに与える影響に関するデータについて入手することができる***。

質問 A.3: パイロットプログラムはいつから始まって、どのくらいの期間までするんですか?

 答え: 2005/5/2-2006/4/28。

質問 A.4:  パイロットプログラムのデータにはどんな情報を含んでるの?

答え: パイロットプログラムのデータは、各自主規制機関(SRO)から提供される月次の取引データを含むだろう。取引データには、自主規制機関から証券情報プロセッサー(SIP)に報告される上場銘柄及びNasdaq銘柄の株式の実行された空売りについての情報を含むだろう。Nasdaq Small Cap securities, OTCBB securities, ETFs, HOLDRs及び仕組み証券は取引データに含めない。自主規制機関から提供された取引データの構成を確認するために、自主規制機関のwebsiteの文書を参照されたい。

質問 A.5:  パイロットプログラムのデータを入手する方法は?

答え: SECの要求に応じて、各自主規制機関は研究者がパイロットプログラムを分析できるように取引データを公開することに同意している。自主規制機関の取引データ及び関連する文書を閲覧するためには、自主規制機関のwebsiteを参照されたい。自主規制機関はCDまたはwebsiteからのダウンロートからデータを入手することに同意している。各自主規制機関のwebsiteにはデータの入手方法に関する指示書または他の文書がある。

質問 A.6: どの時点でパイロットプログラムのデータを入手可能か? 

 答え: 自主規制機関は毎月の月次取引データのファイルを公開するだろう。月次取引データは、四週間後に入手可能となる。

質問 A.7: データの入手に特別なソフトウェアかプログラミングツールは必要か? 

 答え: 自主規制機関はデータフォーマットを標準化することに同意し、変数とデータのユニークな属性について説明する文書を提供するだろう。自主規制機関の取引データは、何百万の記録を含み、扱うには技術的な経験を必要とする。スプレッドシートを用いた分析はオススメしない。データを分析上応用的な統計・プログラミングパッケージが必要である。

質問 A.8: データをどのように入手するか?

 答え: どのような方法によってもデータを分析することができる。SECは、研究者がパイロットデータを研究できるように自主規制機関に取引データを後悔するように要求している。しかしながら、データを分析上応用的な統計・プログラミングパッケージが必要で、スプレッドシートパッケージはオススメしない。

質問 A.9: パイロットデータのコントロールサンプルは?

 答え: パイロットプログラムは研究者にコントロールサンプルを作ることを許可している。研究者は自由に研究をデザインし、適正なように分析を実施することができる。


3. おわりに

 今回のブログでは、SECのパイロットプログラムに関するQ&A集を紹介した。ここで明らかになった特徴は、取引データを公共が利用可能な状態にしたことである。これによって政策評価の透明性を高め、ブログラム評価の再現可能性を高めることができる。さらに事後的に課題が発生した際には再評価が容易になるメリットがある。

 SECのパイロットプログラムは空売りについて行われているが、会計規制や監査規制にも適用可能だろう。実際に各ブログラム評価を実施するか否かは、ニーズの評価をしっかりする必要がある。


* 誤訳等に気がついた場合はご連絡指定ただたら、幸いです。今回紹介したQ&A以外にも、websiteには「B. パイロット証券に関するQ&A」 及び 「C. パイロット証券の注文表示及び取引実行に関するQ&A」がある。

**質問 A.10-14は省略。

***その他具体的な目的については、SECのwebsite及び前回のブログを参照されたい(手抜き)。


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